飲む。浴びる。洗う。水は毎日の暮らしに欠かせないものです。株式会社LIXIL(以下LIXIL)は、水の価値を高めることが、生活のクオリティ向上にもつながると考え、水まわり製品のリーディングカンパニーとして、節水や水の循環、浄水技術などを通じて、水の可能性を追求しています。また、水栓と浄水に関する独自技術を保有する世界有数の企業として、水の環境価値創造への貢献や、一体型浄水栓用の高性能でコンパクトなフィルター開発など、LIXILならではの強みを事業に活かしています。
2021年12月には常滑と東京にある浄水技術の研究開発施設を増強し、「セラミックフィルター、活性炭、ろ過膜を利用した浄水材料の先端研究の推進」「浄水製品の開発」「各国の規格に準じた社内テストの実施」「浄水が味覚、美容、健康に与える影響の研究・分析」という4つの分野に注力してきました。
その中でも今回、浄水が毛髪や肌の健やかさを保つ上で重要である、という新たな知見が得られたため、日本薬学会にて報告することといたしました。
「飲む・浴びる・洗う」浄水に対する取り組み ■飲む水としての浄水:おいしい水へのこだわり 官能評価と機器測定を用い、水そのものだけでなく、お茶、炊飯米、出汁の味への影響を検証。 ■浴びる、洗う水としての浄水:肌や毛髪をケアする美容的側面 毛髪や肌を健やかに保つ科学的なエビデンスを獲得。 日本薬学会 第143年会(札幌)にて以下2つの演題を発表予定。 ・水道水中の残留塩素が毛髪表面の微細組織に与える影響 ・水道水中の残留塩素による角層タンパク質の官能基への影響 |
■浄水とは
水道水は、衛生面から、蛇口での遊離残留塩素(以下残留塩素)濃度を0.1mg/L以上保持することが法令で定められています。衛生確保のためには残留塩素が必要ですが、一方で、カルキ臭の原因である残留塩素は味やにおいに影響するほか、毛髪や肌へのダメージも懸念されています。この残留塩素などの不純物を、浄水器によって水道水から除去したものが浄水です。
■飲む水としての浄水:おいしい水へのこだわり
天然のおいしさのカギは「セラミックフィルター」と「活性炭」
LIXILは浄水カートリッジのフィルターに天然素材から作られたセラミックを採用しています。細孔をもつ天然素材のセラミックのフィルターで濾過した水は、まろやかで臭みのない、岩清水のような天然のおいしさを生み出します。そして、セラミックフィルターとともに、おいしい水づくりに不可欠なのが、有害物質を吸着する活性炭です。長年にわたって培った技術により、独自に活性炭をブレンドし、高品質の浄水カートリッジをつくりあげています。LIXILはセラミックフィルターの製造、活性炭のブレンド、そしてカートリッジの組み立てに至るまで、すべてを自社(国内)で製造しています。
関東地区在住の30~40代女性106名に、4つの水を飲み比べて頂き、最も美味しいと感じた水を選定。LIXIL浄水は、水道水をオールインワン浄水栓(浄水カートリッジ:JF-22)にて、浄水したものを使用。
味覚センサーで味を数値化、おいしい水を追求
味覚センサーを用いて様々な水の味を研究した結果、LIXILでは「水がおいしい」と感じるためには「苦味雑味」を取り除くことが効果的であると考えました。さらに研究を重ねた結果、LIXIL浄水は市販のペットボトル水と同等の低い雑味であることが判明しています。
<水>
浄水を使った飲料・調理品への効果
飲料・調理品に浄水を使うことで、味の変化が味覚センサーの評価で示されています。
比較1:東京の水道水と、東京の水道水をオールインワン浄水栓(浄水カートリッジ:JF-20)にて、浄水したものを比較。
比較2:各エリアの水道水(東京・大阪・新潟)と、各エリアの水道水をオールインワン浄水栓(浄水カートリッジ:JF-20)にて、浄水したものを比較。
LIXIL浄水は、水道水を浄水栓(浄水カートリッジ:JF-43N)にて、浄水したものを使用。
■浴びる、洗う水としての浄水:肌や毛髪をケアする美容的側面
LIXILは浄水を飲む水としてだけでなく、浴びる、洗う水としても着目し、毛髪や肌への効果検証に積極的に取り組んでいます。また、毎年学会にてその研究成果を発表しており、今年も日本薬学会(3/25~3/28)にて、毛髪と肌に関する2つの演題の発表を予定しています。
残留塩素が毛髪に与えるダメージとは
毛髪の最外層に存在するキューティクルは、毛髪内部を保護し、毛髪の質感や見た目の美しさを保つ役割を持っていますが、日常生活の様々な外的要因(紫外線、ブラッシング、ドライヤーの熱など)で容易に損傷してしまいます。
LIXILではこれまでに、水道水の残留塩素によってキューティクルが損傷することを報告してきましたが、その経時的な損傷過程は不明でした。
1800分通水後(水道水使用)は表面のキューティクルが変化してしまっている。
【評価条件】30日使用と仮定し条件設定。これを12回繰り返し、1年使用相当の試験を実施。 [条件 通水流量:8L/min、通水時間:150分、乾燥方法:ドライヤー、乾燥時間:10分]
【学会発表】毛髪表面の経時変化の詳細な観察に成功
今回、残留塩素によるキューティクルの経時変化の様子を、FE-SEM(電界放出形走査電子顕微鏡)で観察しました。残留塩素により、キューティクルの段差が無くなる様子が観察され、また、キューティクル表面には微細な凹凸が生じる様子も観察されました。さらに、白色干渉顕微鏡によって、これらのダメージの経時変化を定量化できる可能性を見出しました。一方で、浄水ではこれらの評価でダメージは確認されず、健康な毛髪を保つことが示されました。
<キューティクルの観察画像>
【評価条件】30日使用と仮定し条件設定。これを12回繰り返し、1年使用相当の試験を実施。
[条件 残留塩素濃度:1.0 mg/L※、通水流量:7.5mL/min、通水時間:150分、乾燥方法:風乾、乾燥時間:10分]
※厚生労働省健康局長通知に基づく水質管理目標設定項目の目標上限値
【学会発表】残留塩素による肌タンパク質の変性を新たに発見
その結果、残留塩素による種々の官能基の増減による角層タンパク質の変性や、それによる疎水性の低下が確認されました。このことから、水道水中の残留塩素によるバリア機能低下は、カルボニル化以外のタンパク質変性の要因にもなっていると考えられました。そのため、水道水の使用により、肌は日常的にタンパク質の変性リスクに晒されており、残留塩素を除去した浄水の使用は、皮膚の健康維持の観点から重要な意味があると示唆されました。
<前腕内側から採取した角層の蛍光顕微鏡結果>
【評価条件】被験者の前腕内側部にシャワーを当て、角層を採取。角層の蛍光顕微鏡観察で画像を取得し、解析ソフトで輝度値の数値化を実施。
[条件 残留塩素濃度:1.0 mg/L※、シャワー流量:5 L/min、シャワー時間:5 分、水温:40 ℃、被験者数:5名]
※厚生労働省健康局長通知に基づく水質管理目標設定項目の目標上限値
LIXILは、水の価値を高め、水やその他の資源の持続可能な利用を促進する最先端の浄水技術を開発することを通して、誰もが願う豊かで快適な住まいの実現に向けて貢献していきます。
<参考URL>
■浄水栓の選び方:https://www.lixil.co.jp/lineup/faucet/hint/w_purification.htm
■浄水器内蔵キッチン水栓:https://www.lixil.co.jp/lineup/faucet/water-purifier/
■浴室用浄水シャワー:https://www.lixil.co.jp/lineup/faucet/shower-purifier/