だし本来の香りを楽しむには、浄水を使うことが有効だと判明
株式会社LIXIL(以下、LIXIL)は、浄水の機能研究において、水道水で顆粒だしを調製すると、水道水中の残留塩素が不快臭の原因物質と言われるアルデヒド類を生成することを発見しました。一方、残留塩素を除去した浄水で調製した顆粒だしは、アルデヒド類由来の不快な臭いを抑えることができ、だし本来の香りを楽しめることが明らかとなりました。顆粒だしの種類によって増加する成分の種類や量が異なり、今回使用した鶏ガラ、かつお、こんぶの3種類では、鶏ガラで浄水の有用性がもっとも顕著となりました。本研究成果の一部は、日本食品科学工学会 第71回大会(2024年8月29日〜31日・愛知県)にて発表しました。
■研究背景
本研究では、家庭で広く利用されている顆粒だしに着目し、残留塩素が顆粒だしの香りに関わる成分(香気成分)に及ぼす影響を調査しました。
■研究概要
水道水および浄水で、鶏ガラ、かつお、こんぶの3種類の顆粒だしからそれぞれ調製しただしの香気成分を網羅的に比較しました。その結果、鶏ガラの場合、水道水では浄水と比べて不快臭の原因と言われている3種のアルデヒド類(イソブチルアルデヒド、2-メチルブチルアルデヒド、イソバレルアルデヒド)および1-ビニルアジリジンが多く検出されました。一方で、顆粒だし本来の香気成分には違いが見られませんでした。
さらに、かつお、こんぶでも水道水の方が、アルデヒド類が多く検出されました。
それぞれの顆粒だしで不快臭の原因物質や検出量に違いが見られ、鶏ガラが最も水道水の影響が顕著に見られました。
次に、水道水の場合で、不快臭が多くなる原因を調査しました。その結果、使用する水に含まれる残留塩素濃度の増加に伴い、鶏ガラ、かつお、こんぶのいずれにおいても不快臭の原因物質が増加し、水道水中の残留塩素が不快臭の原因物質の生成に関与していることが明らかとなりました。
本研究により、残留塩素を除去した浄水で調製した顆粒だしは、水道水よりも不快臭が少ないことが明らかとなり、だし本来の香りを楽しむにあたっての浄水の有用性が示されました。
LIXILは、今回得た知見を、水の価値をさらに高める浄水技術の開発に活かし、誰もが願う豊かで快適な住まいの実現に向けて貢献していきます。