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誠実なリーダーシップ:「正しいことをする」という価値観とは

作成者: LIXIL|2025年10月28日

LIXILでの20年にわたるキャリアを通して、Rhoderick GatbuntonさんがLIXILの成長、イノベーション、そして「人を中心としたリーダーシップ」にどのように影響を受けてきたかについて語ります。

彼は、AIプロジェクトを通じたデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進、強固なチームの構築、そして人材育成に尽力してきました。今回は、LIXIL Behaviorsのひとつである「正しいことをする」という考え方が、どのように彼にインスピレーションを与え、変革を推進する原動力となっているのかを探ります。

まず、ご自身のことやキャリアの歩み、LIXILを選んだ理由について教えてください。

私はLIXILに入社してもうすぐ20年になります。もともと、独立性の高い環境で働きたいという思いからプログラマーとしてキャリアをスタートしました。その後、より成長できる環境を求めてAmerican Standardに転職し、2011年にLIXILが同社を買収しました。 そして、2013年により大きな挑戦を目指し、インパクトのある仕事を望んでいた時に、LIXILからグローバルな役割のオファーを受けました。そこで、プログラミング、ネットワーク管理、システム管理、プロジェクトマネジメントなど、技術的・社会的スキルを磨いてきました。

8年間にわたり複数の国でビジネス情報管理を担当した後、現在はオートメーションに特化した「Global SOR Test Automation Architect/Lead」という新しい役職に就いています。フィリピンを中心に、AIを活用した業務自動化プロジェクトに取り組んでおり、例えば、データ処理システムやアプリケーションの手動テストを自動化する試みを進めています。このプロジェクトはまず米国、メキシコ、カナダで試験的に導入され、現在さらに拡大中です。AI導入には課題もありますが、最終的には生産性の向上と従業員の業務をサポートすることが目的です。今後1年間、この変革をさらに進めていく予定です。

AIやデジタルトランスフォーメーションを推進する上での最大の課題は何ですか?また、今後LIXILが注力すべき点は?

最大の課題は、従来の業務プロセスを変えることです。特に、一連の操作手順を示すプログラムやコードの作成方法を見直す必要がありましたが、長年のやり方を変えることに対しては抵抗もありました。「これまで通りのやり方で進めるべきか、それとも新しい方法を取り入れるべきか」という議論が続きました。そのため、まずは現行の方法で実施し、課題を洗い出すことで、なぜ段階的な変革が必要なのかをビジネス側に説明できるようにしました。こうしたアプローチを一つずつ実施することで、着実に変革を進めることができました。

AIの分野はまだ発展途上であり、進化のスピードを考えると「ジュラ紀」のような初期段階とも言えます。そのため、一度にすべてを変えようとするのではなく、順次に導入し、スタッフが混乱しないように進めることが重要です。AI導入にはハードルもありますが、バランスを取りながら推進することが成功の鍵になると考えています。

LIXILの一員として働く上で、最も楽しいと感じることは?

2020年、パンデミック直前のタイミングで、私はチーム内のつながりの重要性を改めて実感しました。同僚としてだけではなく、友人として、そして家族のように支え合うことのできる関係が生まれたことはとても大きかったです。成功を一緒に喜び、困難な時はお互いを支える――そんな文化が私にとって大切なものになりました。

それ以来、私はチームに対して「必要な時にだけ助ける」のではなく、「いつでもそばにいて相談できる」存在となることを心がけています。このつながりの文化が、仕事へのモチベーションや楽しさにつながっています。チームとして協力し合うことで、どんな困難も乗り越えられると感じています。

LIXILに入社して以来、ご自身にとって最も大きな成果は何ですか?

これまで関わったすべてのプロジェクトに達成感を感じていますが、最も印象に残っているのは、あるチームメンバーの成長を間近で見守れたことです。2017年に契約社員としてチームに加わったそのメンバーを正式に雇用することができ、そこからその方のキャリアが大きく広がりました。

今ではグローバルチームの一員として活躍し、国内外のプロジェクトに貢献しています。LIXILの環境がそのメンバーの成長を後押ししたことは間違いありませんし、私自身も、自分が学んできたことを彼に伝えることで、彼のキャリアに少しでも良い影響を与えられたのではないかと思っています。

こうした経験が、私にとって最も大きな成果です。そして、現在のチームでも同じように、メンバーが成長し、自分の可能性を最大限に発揮できるようにサポートしていきたいと考えています。

仕事をする上で、大切にしている価値観は?

私にとって重要なのは、「経験を大切にし、その瞬間を価値あるものにすること」です。感情に流されるのではなく、冷静さと人間らしさのバランスを保つことを心がけています。過去の経験から、感情が先行すると後悔することがあると学びました。今はより論理的に物事を捉え、人のスキルや経験、実績に注目するようにしています。

また、リーダーとしては「指示を出す」のではなく、「導く」ことを重視しています。チームにも「あなたでも私でもなく、チームとして考えよう」と伝えています。この姿勢がチームの信頼につながり、オープンな対話が生まれることで、どんな課題も一緒に乗り越えていけると考えています。

LIXILの目指すべき方向性とチームの取り組みを一致させるための方法として、こうしたアプローチを取っているのでしょうか。

はい、そう思います。LIXILの価値観はどの国でも強く根付いており、特に「正しいことをする」「敬意をもって働く」「実験し、し学ぶ」というLIXIL Behaviorsは、私たちにとって非常に大切なものです。私たちはこれらを常に意識して行動しています。

もしチームのメンバーが私の判断に疑問を持ったとしても、「意見を言ったからといって傷つけられることはないよ」と直接伝えるようにしています。私たちはチームですし、メンバーもその姿勢を評価してくれています。このオープンな環境が、自由に意見を言いやすい雰囲気を作っています。

また、ミーティングでは仕事の話は5分ほどで、あとはカジュアルに話すことも多いですね。このリラックスした雰囲気が、メンバーとの関係をより良くしてくれると感じています。特にパンデミックの間、小さな雑談がコミュニケーションの構築にどれほど大切かを改めて実感しました。

LIXIL Behaviorsの中で、最も共感するものを一つ選ぶとしたら、どれですか?

私にとっては、「正しいことをする」が最も大切です。この考え方があることで、前向きな結果につながり、意思決定、人間関係、さまざまな課題に向き合う際の道しるべとなっています。それは単にルールを守ることではなく、尊敬や誠実さ、長期的な影響を考慮した上で、思慮深い選択をすることを意味します。

「正しいことをする」は、必ずしも簡単でも明確でもありません。しかし、それを意識して行動したとき、信頼や協力関係が生まれ、より良い結果につながることを実感しています。それは単なる原則ではなく、生き方そのもの。仕事でもプライベートでも、自分の行動が前向きな価値観を反映するよう心がけています。

これまでに部門横断型のプロジェクトに携わったことはありますか?多様なチームと協働し、プロジェクトを成功させるためには、どのように工夫していますか?

私が直接、部門横断型のプロジェクトを率いたわけではありませんが、SAP LISA(WMS)の導入時には、財務、営業、調達、製造など、さまざまな部門のリーダーと緊密に連携して仕事をしました。それぞれの部門が異なる優先事項を持っているため、バランスを取ることが大きな課題でした。

こうしたプロジェクトで特に難しいのは、相手の話を聞こうとしない人や、自分のやり方に固執する人と向き合うことです。そうした場合には、一対一での対話が効果的だと感じています。以前、ある大規模な会議で、参加者の一人から厳しい批判ををいただいた経験があります。その場はリーダーの適切なサポートで収まり、、その後、その人は謝罪にきてくれました。私はその方に改めて歩み寄り、「あなたの情熱は強く感じますし、その背景にある意図も理解できます」と感情を受け止める姿勢を伝えました。この言葉がきっかけとなり、互いの立場への理解が深まりました。その結果、私たちは良い関係を築くことができ、今では良い友人になりました。

LIXILでのキャリアを考えている人に、どんなメッセージを伝えますか?

LIXILに入社を考えている方には、まず自分の性格やキャリアの目標をよく考えてほしいと思います。LIXILでは、自分自身でキャリアの方向性を切り拓く自由があり、自ら行動を起こすことが求められます。エネルギッシュに成長し、チャレンジを楽しめる方にとっては、最適な環境です。

私がLIXILで特に素晴らしいと感じているのは、「人を大切にする姿勢」です。パンデミックの間、LIXILは2年間にわたり従業員をしっかりと支援し、柔軟に働けるようサポートしてくれました。この柔軟性は現在も続いています。

LIXILでは、成長に必要な機会、学習、研修のすべてが揃っています。American StandardからLIXILへ異動した際、会社が私たち従業員をどれほど大切にしてくれているかも実感しました。

そして、特に印象的なのは「オープンなコミュニケーション文化」です。誰にでも気軽に相談でき、つながることができます。この環境のおかげで、仕事の進め方や課題への向き合い方が大きく変わりました。

2025年1月インタビュー時点