事業利益、前年比35%増 海外水まわり事業で収益が改善
■国内事業は新築需要低迷などの影響を受けたものの、リフォーム向け売上の増加が収益を底支え
■海外水まわり事業は欧州・中東での売上増加に加え、構造改革効果により増益
株式会社 LIXIL(以下 LIXIL)は本日、2025年3月期通期決算(2024年4月‐2025年3月)を発表しました。
◆LIXIL 社長 兼CEO 瀬戸欣哉のコメント
「2025年3月期は、国内外において厳しい事業環境が続きましたが、売上収益、事業利益ともに前年比で増収増益となりました。国内事業は新築着工件数が当初計画を下回ったほか、資材価格の高騰などの影響を受けましたが、リフォーム向け販売が補いました。海外事業は、欧州の売上改善が続き、中東やインドなど成長市場の需要取り込みも拡大しました。米国や中国では引き続き需要が低調だったものの、この数年の間に注力してきた構造改革の効果もあり、海外事業全体では増益となりました。
『LIXIL Playbook』に沿った優先課題への対応は着実に進捗していますが、さらなる収益性改善と持続的成長の実現に向けて力を結集するため、今後3年間の優先注力分野をあらためて明確化しました。米国事業の回復や、GROHEブランドのグローバルでの成長に取り組むとともに、日本ではリフォーム事業をさらに強化します。また、グローバル市場に向けた差別化製品の開発を加速させていきます。社会や環境にインパクトを与える差別化製品の拡販は足元でも順調に進んでいます。不透明な事業環境は続きますが、状況の変化に柔軟に対応しつつ、引き続き、当社が強みを発揮できる領域にリソースや投資を集中させることで、持続的な成長への歩みを着実に進めていきます」
◆決算の概要
売上収益
連結売上収益は、前年同期比1.4%増の1兆5,047億円でした。国内では、水まわり製品でリフォーム需要の獲得が進み、価格改定の効果もあって売上を伸ばしました。ハウジング事業では窓リフォームの受注が増加した一方で、新築着工件数の落ち込みの影響が出ました。国内事業全体の売上は、前年同期から微増の9,953億円でした。海外事業の売上は前年同期比3%増の5,194億円、為替の影響を除くと1%減でした。欧州のシャワー関連製品の売上回復や、中東での成長需要の取り込みが貢献しました。米国や中国では需要低迷が続きました。
事業利益
事業利益は、前年同期から35.3%増の313億円でした。国内事業はリフォーム向け売上の増加やコスト削減などが進んだものの、資材価格の高騰や新築需要減少の影響を受けました。海外事業では固定費の削減、生産性の向上といった構造改革の効果により、増益となりました。全体の事業利益率は0.5pt改善して2.1%となりました。
非継続事業を含む親会社の所有者に帰属する最終四半期利益
最終利益は20億円でした。税費用は増加したものの、事業利益の改善、構造改革費用の減少により、前年同期比では159億円改善しました。
期末配当予想
期末配当予想は1株あたり45円で据え置きました。年間配当金は前年と同じく90円を予想しています。
2026年3月期 通期業績予想
売上収益は1兆5,400億円、事業利益は350億円、最終利益80億円の増収増益を計画しています。
事業・地域別の業績
水まわり事業を手がけるLIXIL Water Technology(LWT)の国内事業は、価格改定効果やリフォーム向け売上の増加により、売上収益は前年同期比3.4%増の4,350億円でした。事業利益は、資材高騰などの影響を増収効果やコスト削減施策でカバーし、前年同期比16.5%増の243億円でした。リフォーム売上構成比は3.0pt増の54%でした。
LWTの海外事業の売上収益は3.5%増の4,929億円でした。事業利益は売上の回復や構造改革効果により、前年同期から148億円増の166億円と大きく改善しました。現地通貨ベースでは、欧州地域が9%の増収でした。ドイツ、オランダ、イタリアなど、主要市場で販売数量が増えました。インド・中東・アフリカ(IMEA)地域は20%の増収でした。インドは堅調な売上成長が続いたほか、中東でも需要の取り込みが進みました。アジア太平洋地域は、ベトナムでプロジェクト向け売上が回復したことなどで、2%の増収となりました。米国では利下げの影響が限定的で、リフォーム市場の回復には至らず、第3四半期に発生したシステム障害の影響もあり9%の減収でした。不動産市況の低迷と厳しい競争環境が続く中国は13%の減収でした。
住宅建材事業などを展開するLIXIL Housing Technology(LHT)の売上収益は、前年同期比1.6%減の5,868億円となりました。事業利益は18.7%減の292億円でした。窓リフォームの受注は増加したものの、新築着工件数の落ち込みや資材費、販管費の増加から減収減益となりました。
◆中長期の方向性
LIXILは、2021年3月期に導入した「LIXIL Playbook」の優先課題に基づき、持続可能な成長と価値創造の実現に注力しています。優先課題のもと取り組むべき領域をより明確にし、変革のスピードを加速させるため、具体的に目指す業績のイメージや戦略的に取り組む施策を含めた中期の道筋をまとめました。
連結業績では、2028年3月期までに事業利益を1,100億円以上とすることを目指します。売上収益は1兆6,700億円、事業利益率は6.5%とするイメージです。
これまで取り組んできた構造改革により、特に海外事業において資産の整理や固定費の削減、生産性の向上を実現することができました。向こう3年間を通じて、米国事業においてコスト構造の変革や収益性の高い製品へのシフトを加速させるほか、成長市場への注力や新製品の継続的な投入などにより、GROHEブランドをさらに成長させていきます。日本では、AI等のデジタル技術の活用を含め、事業の効率化を推進するとともに、リフォーム事業の生産性の改善などを進めます。また、長期的な観点から最も重要な取り組みとして、グローバル市場に向けた差別化製品の開発を推進していきます。
※適時開示資料はこちらから、新商品のリリース情報はこちらからご覧ください。