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清掃現場の声を聞き、導入後は丁寧に伴走。「失敗させないDX」で、日本のトイレの「きれい」を守る。

作成者: LIXIL|2026年06月11日

                                                    LIXIL toilet  Cloudの担当である小川祥司


株式会社LIXIL(以下LIXIL)は、新しいトイレ管理ソリューション「LIXILtoiletCloud」に関するストーリーを公開します。

駅や商業施設、オフィスなど、日々私たちが当たり前のように使っている公共トイレ。そんなトイレが清潔に保たれているのは、清掃員の方たちが日々清掃してくださっているおかげです。人手不足が深刻化するなか、清掃員の方たちの業務を効率化することは、こうした「きれいなトイレ」を守ることにつながります。

LIXILでは、トイレの清掃業務に特化したIoTサービス「LIXIL toilet Cloud」を提供しています。「現場で価値を生み出せる、失敗させないDX」を目指すLIXIL toilet Cloudについて、LIXIL ビジネスイノベーション部の小川祥司に話を聞きました。

導入後に価値を生み出せるトイレ×IoTを

――LIXIL toilet Cloudの開発は、どういった経緯でスタートしたのでしょうか。

きっかけはテクノロジーの発達ですね。LIXILでIoT活用の取り組みが始まったのは、10年ほど前のことで、世の中的にトイレ×IoTが流行している時期でした。多かったのが個室に付けるドアセンサーや、入口付近に設置する大型モニターで、トイレの満空状況を表すディスプレイですね。これらは別にトイレメーカーでなくとも開発できるものですから、いろいろな企業が取り組んでいたのです。

しかし、残念ながらそれらの多くは失敗に終わりました。その原因は、「機器を付けて満足する」段階で終わってしまっていたことだと思います。サービス導入は目的ではなく手段であり、導入後に何らかの効果がなければ、導入企業にとってただコストが増えただけになってしまいます。日本の公共トイレは基本的に無料で使えるので、トイレの利便性が上がったからといって収益が上がるわけではありませんから、効果がなければ継続利用につながりづらいのです。

ビジネスとして継続できるサービスには、「導入することで、いろいろな可能性がある」と漠然と示すのではなく、「使うことで、このような価値を生み出せる」と示すことが必要です。そこで「お客様は何がほしいのか」を追求するべく、トイレについての課題をヒアリングしていったところ、維持管理、特に清掃に課題があると感じられていることがわかりました。トイレを設置する際の購入費用より、維持管理にかかる人件費などのほうが上回っているのです。IoTを上手く活用できれば、業務効率性を上げ、トイレの維持管理問題、人手不足問題の解決に寄与でき、ビジネスとして成り立つサービスが作れるのではないか。これがLIXIL toilet Cloudにつながりました。




失敗させないDXを意識。現場で使い続けてもらえるサービス作りを

――LIXIL toilet Cloudのコンセプトについてご紹介ください。

トイレの維持管理、清掃に特化したIoTを目指しました。IoTによりトイレからデータを収集、活用し、清掃業務を効率化しようと考えたのです。トイレには使用する頻度がトイレごと違うため、そこがわかれば清掃を効率化できるだろうということですね。誰にでも思いつくことのできる単純なアイディアなのですが、実際に現場で使ってもらえるサービスに落とし込むまでには苦労がありました。

――どういった苦労があったのでしょうか。

まずは、どうデータを集めるのか。そして、集計結果をどうやって清掃員に伝えるのかですね。そこで開発初期段階において、LIXIL自社ビルのトイレ清掃員たちにヒアリングし、開発を進めていきました。結果としてスマ-トフォンアプリの形に落ち着いたのですが、清掃員の方たちは多くが高齢者のため、まず「使ってもらえるのか」という問題があったのです。

実際にLIXILの清掃員にプロトタイプのスマ-トフォンアプリを手渡してみたところ、最初は門前払いを受けてしまいました。では、大型モニターを設置するのはどうかと試したところ、ひとまず画面を見てはくれたものの、今度はスペース的に邪魔だという話に。また、大型モニターの場合、使用状況がトイレ利用者にも見えるため、いざ清掃に入ろうとしたときに清掃員と利用者とがバッティングしてしまい、清掃の効率化が図れないのではという意見が清掃員側から出ました。そこから「やはり清掃員だけが見えるスマートフォンがいいのでは」という話になりました。

そこからは、現場で使いやすいスマ-トフォンアプリのUIを実現すべく、引き続き現場との話し合いを続けました。今の70〜80代の方は、テクノロジーに疎いところがあっても、それは食わず嫌いであることも多く、一度使い始めてみると、めきめきと使いこなせるようになってくれます。清掃員の方々の協力もあり、「これなら日頃から使います」と言ってもらえるレベルのサービスに仕上げることができました。

――そんなUIのこだわりについてお聞かせください。

まずはわかりやすさですね。当初は個室、便器をマップ化して表示することを考えていたのですが、清掃員の方から「マップは頭に入っているから、大便器1、2といった表示がいい」と要望があり、かなりシンプルな表示画面となりました。

使用頻度は、パッと見て直感的に状況がわかるよう工夫しています。「1回」「10%」と文字で表してしまうと、一気に業務アプリにありがちな無機質な感じになってしまい、つまらなくなってしまうんですよ。LIXIL toilet Cloudは、清掃員の方が仕事に前向きに取り組めるような雰囲気づくりをかなり意識していまして、アプリの操作感一つとっても、使うときに心がときめくよう作り込みました。

また、清掃現場にフォーカスしたことで付けた機能が、トイレ詰まりを知らせる「便器詰まり検知・お知らせ機能」です。清掃員にヒアリングした際、便器が詰まったときの清掃の過酷さを70代の女性清掃員が切々と話してくれたことが、実装を目指したきっかけでした。

詰まった状態で即対応ができればいいのですが、利用者が焦って何度も水を流そうとした結果、床に水があふれた状態で清掃に入ることが多く、清掃と消毒で半日~1日仕事になることがあるそうなんですね。この問題を解決するのは非常に大きな意義があるのではと感じました。

ただ、トイレの詰まりは配管側で起こることも多く、トイレメーカー側では対処しきれないケースが多いのです。そこで、トイレメーカーとして「詰まらないトイレ」を作ることは難しくとも、詰まったときに水を溢れさせないトイレなら作れるのではないかと考え、一定の水量に達した場合、それ以上水を流せないよう管理し、その時にアプリでアラートを出す「便器詰まり検知・お知らせ機能」を開発しました。

開発後に自社ビル内の50台のトイレに設置してみたところ、1か月以内にアラートが鳴りました。清掃員と現場に向かってみたところ、便器から水が溢れることなく床はきれいなまま。「これはいい」と喜んでもらえました。試すまでは、「それほど詰まる頻度が高くない可能性もあるのでは」と思っていたのですが、50台で1か月に1度起きたということは、日本中で相当な数のトイレが詰まっている可能性があるといえます。これは清掃員の方にとっては相当な負担であり、解決する意味がある課題だと再認識できました。



――LIXIL toilet Cloudをご導入いただいたお客様のご感想はいかがでしょうか。

「便器詰まり検知・お知らせ機能」への反響が大きいです。山形県の道の駅「チェリーランド」の方からは、「アラートが鳴ったトイレに向かってみたら、本当に溢れていませんでした!」と喜びのお声を頂戴しています。鉄道会社様からも「LIXIL toilet Cloudを導入したトイレは1回も溢れていない」というお声をいただきました。また、商業施設の管理会社様からは、急な欠員が出て現場を回すのが困難になった状態において、LIXIL toilet Cloudで使用頻度を可視化できたことで清掃を効率化できたとのお声もいただいています。


※画像出典:LIXILビジネス情報「寒河江の観光拠点に賑わいを創出する2つの施設が完成

――現場の清掃員が使いこなせるUIを作り込んでのリリースでしたが、スムーズに導入されているのでしょうか。

入念にヒアリングを重ねて開発したおかげで、「スマ-トフォンアプリは嫌だ」という現場のアレルギー反応はだいぶ抑えられたと感じています。ただ、やはり導入ハードルはありますね。要因のひとつは、「使用頻度に応じて清掃スタイルを変える」ことへの抵抗意識です。清掃員の方は真面目な方が多く、長年従事されてきたというプロとしてのプライドをお持ちの方も少なくありません。そのため、「使用頻度の高いトイレを清掃する」こと自体に対し、手を抜いていると感じてしまう心理があるのです。

ただ、実は今も割り切って清掃していないわけではないんですよね。今は「1時間に1回」など時間で割り切っているところを、利用回数で割り切ろうとしているのがLIXIL toilet Cloudなんです。時間で区切るよりも、使われているトイレだけを清掃するほうが合理的といえるでしょう。こうした内容を説明したり、実績を紹介したりしながら、伴走して進めていくようにしています。

LIXIL toilet Cloudに限らず、DXは導入まで習熟が必要なものだと考えています。LIXIL toilet Cloudは、契約後も改善が達成出来るまで一緒に伴走し、アプリを立ち上げてくださっているのか、きちんと使えているのか、LIXIL側でも確認しています。導入先の清掃員の方たちにもご挨拶に行き、彼らと関係性を築き、直接使う意義をお話することで、きちんと使い続けてもらえる素地を地道につくっているのです。その結果が、7、8割は失敗するといわれている現場DXを成功させられている秘訣でしょう。



これからも現場に耳を傾け、「日本のきれいなトイレ」を守る取り組みを

――2026年、LIXIL toilet Cloudは「パブリック向けクイックタンク式床置便器」を新たに発売しました。こちらについてご紹介いただけますか。

トイレには、壁掛けタイプのものと床に置かれているタイプのものとがあります。LIXIL toilet Cloudは、まず壁掛けタイプ用のものを開発しました。壁掛けトイレが主に使われているのは、トイレがあちこちにあり、効率化の効果が大きく表れるであろう大規模なオフィス、商業施設です。ただ、展示会などでお話を伺っていると、トイレが1か所しかないような小中規模の店舗からもニーズがあるとわかりました。やはり需要が高いのは「便器詰まり検知・お知らせ機能」で、「うちにもほしい」というお声が多かったことから、今回、床置便器にも対応させた形です。

――どのような企業、店舗からのニーズが高いのでしょうか。

導入のご相談が増えているのは清掃会社様ですね。いろいろな会社様のトイレの清掃に当たられているのですが、人手不足で新規の依頼に対応しきれず、仕事を増やしたくとも増やせない課題を抱えていらっしゃるのです。

LIXIL toilet Cloudには、清掃会社様の判断で清掃先のトイレに導入できる後付けセンサータイプもあります。こちらは利用頻度データのみの対応となり、詰まり防止機能は別となりますが、限られた人員で清掃業務を効率化する目的は果たせるということで、お喜びいただいています。後付けタイプから使っていただき、トイレを改装する必要が生じたタイミングで「便器詰まり検知・お知らせ機能」に対応したものを入れていただければ、より清掃員の方の負担を減らせるでしょう。

LIXIL toilet Cloudは、開発当初から清掃現場に着目し、清掃員の方たちから話を聞くことで、現場の課題を本当に解決できるサービスとして磨き上げてまいりました。それはこれからも変わりません。これで終わりではなく、今も現場の課題を拾い上げ、さらなるサービスの進化につなげていきたいと考えています。

――今後のアップデートにも期待ですね。LIXIL toilet Cloudにより、世の中がどう変わっていけばいいとお考えですか?

どの業界も人手不足が課題となるなか、清掃業界は特に人が集まりづらい業界のひとつです。日本の公共トイレは清潔できれいなのが当たり前で、外国人の方からも「美しい」と言われている、いわば日本の文化だと思っています。しかし、それは「きれい」を維持してくださっている人がいてこそのものです。このまま人手が不足し、人件費の高騰が続けば、「きれいな日本のトイレ」がなくなってしまうのではないかと危惧しています。清掃ロボットを使えばいいと思われる方もいらっしゃるでしょうが、トイレ掃除には備品の補充、忘れ物や放置物の撤去といった細々とした業務もあるため、ロボットが完全に代替できるようになるのは相当先のことになるでしょう。

日本のきれいなトイレを守り続けるためにも、何とか清掃現場を支え、救える手立てを講じなければなりません。LIXIL toilet Cloudは、そんな助ける立ち位置に一歩入るきっかけとなれたサービスだと思います。これからも現場からの意見に耳を傾け、失敗させないDXを実現させていくことで、社会課題の解決に挑んでいきたいです。


LIXILは今後も、私たちの行動指針LIXIL Behaviorsの一つにある「実験し、学ぶ」企業文化を醸成し、“やってみよう”と仲間が背中を押してくれる環境を整えてまいります。

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