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    LIXIL 2022年3月期第4四半期決算(IFRS)

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    引き続き事業環境厳しいも、前年比で増収増益

    ■日本の一部事業で部品調達難と物流ひっ迫の影響受けるも、欧米の好調継続とアジア太平洋地域での経済活動回復の進展により増収
    ■第4四半期における原材料価格等の上昇激化と商品の安定供給にかかるコスト増が事業利益を期初計画以下に押し下げるも、全ての段階利益において対前年で増益を達成

    株式会社 LIXIL(以下 LIXIL)は本日、2022年3月期第4四半期通期(2021年4月―2022年3月)の決算を発表しました。

    ◆LIXIL 社長 兼CEO 瀬戸欣哉のコメント

    「第4四半期は極めて厳しい事業環境となりましたが、通期では前年比で増収増益を達成し、財務体質を大幅に改善することができました。欧米地域では2桁成長を達成し、アジア太平洋地域でも新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大による影響からの回復が続いています。しかし、原材料価格及び物流費の高騰とサプライチェーンの寸断に対応するためのコスト増が、第4四半期の利益を大きく押し下げる要因となりました。これらの課題に対応すべく、迅速な価格改定と高付加価値商品へのシフトや代替素材への転換などの施策に取り組んでいます。また、より機動的で強靭なサプライチェーンと生産体制の構築を加速し、お客様への商品の安定供給に努めています。加えて、環境負荷を低減し、循環型経済を実現する製品の開発を加速することで、地球環境の保全に貢献するとともに、将来の成長が見込める新たな事業機会の獲得につなげていきます。

    2022年3月期は、中期的な財務目標に対して着実に前進することができました。組織としての機動力や環境変化への対応力を強化してきたのに加え、経営の基本的方向性で定めた優先課題への取り組みの進展が成果として現れています。今期も不透明な事業環境が続くと思われますが、長期的に持続可能な成長を達成できると確信しています。また、今後もコーポレート・レスポンシビリティ戦略で定めた目標に向かって取り組みを進めることで、ステークホルダーの皆様に提供する価値をさらに高め、ひいては、『世界中の誰もが願う、豊かで快適な住まいの実現』という当社の存在意義を実現するために前進してまいります」

    ◆決算の概要(第4四半期累計)

    ・売上収益
    2022 年3月期の連結売上収益は、第4四半期3か月では国内の一部事業における部品調達難や物流のひっ迫の影響により減速しましたが、引き続き好調な欧米のLIXIL Water Technology (LWT)事業が寄与して、通期では前年比4%増の14,286億円となりました。国内事業の売上収益は、2021年3月期に行った事業売却の影響により、前年比2%減の9,962億円となりましたが、売却の影響を除くと1%の増収となりました。一方、海外事業の売上収益は、好調な欧米が牽引して前年比18%増の4,523億円となりました。

    ・事業利益
    第4四半期3か月では、原材料価格の上昇激化と、商品の安定供給のためのコスト増により減益となりましたが、通期では欧米地域の売上伸長や価格転嫁、また販管費の削減努力と過年度における構造改革の効果により、事業利益は前年比で76億円増加して649億円となりました。売上総利益率は34.1%に、事業利益率は0.4pt増加して4.5%に改善しました。販管費は売上増加に伴い、前年比で101億円増加しましたが、販管費率は0.3pt改善しました。

    ・非継続事業を含む親会社の所有者に帰属する最終利益
    通期の最終利益は、構造改革の進捗と基幹事業への集中により業績の変動要因を低減したことで、前年比156億円増の486億円となりました。

    ・連結財政状態
    自己資本比率は 2.6pt上昇して34.3%に改善し、通期計画目標34%を達成しました。また、ネット有利子負債EBITDA倍率は、2.9 倍に改善しました。中期的な財務体質の強化目標をほぼ達成したことから、資本効率の向上を図り、株主還元を強化するため、自己株式の取得と消却の実施を決定しました。

    ・期末配当予想
    期末配当予想は、5 円引き上げて、45円に修正しました。一株あたりの年間配当金は、前年比10円増の85円を予想しています。

    ・2023年期通期業績予想
    売上収益は 1 兆 5,200 億円、事業利益は 810 億円、事業利益率は5.3%を見込んでいます。年間配当金はさらに5 円増配し、一株当たり90円を予想しています。

    ・事業・地域別の業績
    LWTの国内市場では、一部事業で機器・部品の調達難の影響を受けましたが、中高級品価格帯商品とリフォームの需要が堅調で前年比2%の増収となりました。また、衛生への関心の高まりをうけ、タッチレス水栓を搭載した商品の売上が好調でした。事業利益は、リフォーム向けと中高級品価格帯の商品の売上構成比が向上したことに加え、資材等の価格上昇に対し、価格を適正化し販管費を削減したことで、厳しい外部環境の中においても、前年比で7%増となりました。国内事業の事業利益率は、8%でした。国内のリフォーム向け売上構成比は2.0pt上昇し、47%となりました。

    LWTの海外事業の売上収益は、好調な欧米地域が牽引して前年比で19%増となりました。アメリカ地域では、売上はCOVID-19の感染拡大前の水準を上回って伸長、前年比で13%増となりました。全販売チャネルで売上を伸ばしましたが、特に引き続き卸向けが堅調でした。欧州・中東・アフリカ地域の売上もCOVID-19感染拡大前の水準を上回り、前年比で15%増となりました。売上は全商品カテゴリーと販売チャネルで増加しましたが、特に引き続き卸向けとeコマースが好調でした。中国では、前年比1%の売上増で、小売りチャネルにおけるGROHE商品の売上が好調でした。アジア太平洋地域では、インドとインドネシアの経済活動の回復により、前年比15%の増収となりました。ベトナムは、継続的に回復していますが、通期ではCOVID-19感染拡大によるロックダウンの影響を受けました。事業利益は欧米市場での好調な売上に加え、販売価格の適正化と販管費等のコストの効率化により前年比で39%増、事業利益率は1.4pt増加し、9.7%となりました。

    住宅建材事業を展開するLIXIL Housing Technology(LHT)の国内市場の売上は、ニューノーマルへの対応と在宅時間が増えたことを背景としたリフォーム需要の増加により、前年の子会社の売却影響を除くと、3%増加しました。リフォーム商材においては、TOSTEMブランドのドア「リシェント」の売上が前年比で12%増、樹脂内窓「インプラス」は20%増となりました。一方、「スマート宅配ポスト」も引き続き堅調で、前年比44%の売上増となりました。事業利益は、特に第4四半期における原材料価格の上昇激化を従来からの体質強化施策と販管費削減で補いきれず、前年比10%減となり、事業利益率は6%でした。国内のリフォーム向け売上構成比は1.6pt増加し、34%となりました。

    ◆第4四半期 事業・ESGハイライト
    LIXILは、長期的な持続的成長を実現するために優先課題への取り組みを推進するとともに、ステークホルダーに対して生み出す価値を高めるため、ESG(環境・社会・ガバナンス)の取り組みを加速しています。

    ・水まわり事業の海外成長の加速
    GROHEブランドは、プロユーザーと各セグメントに属するエンドユーザーが抱える特定のニーズに応える取り組みの一環として、施工業者とその顧客であるエンドユーザーをターゲットとしたサブブランド 「GROHE Professional」 を 欧州・中東・北アフリカ(EMENA)市場において立ち上げました。DIY(Do-It-Yourself)需要の高まりに対応し、好評を得ている「GROHE QuickFix」に続く、サブブランドの展開となります。「GROHE Professional」は、業界が人手不足に直面する中、施工業者の日々の業務をできるだけ簡素化かつ効率化するために、専用の製品ポートフォリオと研修を含む包括的なサービスを提供する「GROHE+」を提供します。また、GROHEブランドは、次世代の施行業者を育成するために、「GIVEプログラム」(GROHE Installer Vocational Training and Education)を立ち上げ、EMENA各地の訓練校を支援するとともに、就学中の実務経験の習得と卒業後の就業をサポートしています。これらの多岐にわたる取り組みにより、GROHEブランドは、ブランドロイヤリティの強化と、クロスセリングやアップセリングの機会の拡大を図るとともに、業界の持続可能な成長に貢献します。

    ・イノベーションによる長期的な成長基盤の確立
    LIXILは、自社の強みやノウハウを生かし、既存の事業領域以外においても革新的なビジネスモデルを創出しています。このほど提供を開始したサブスクリプションサービス「LIXIL Toilet Cloud」は、その一例で、IoT技術を活用して、施設管理者のパブリックトイレの清掃作業を効率化します。このサービスでは、LIXIL が独自開発した AI が、リアルタイムでトイレの利用状況をモニタリング処理し、その日その時のトイレ使用実態に即した最も効率の良い清掃プロセス・指示をスマートフォン画面で提示します。また、オプションで定期点検やメンテナンスサービスもセットで提供しています。西日本旅客鉄道株式会社と共同で実施した実証実験では、清掃業者が「LIXIL Toilet Cloud」が最適化した清掃業務工程に基づいて作業することで、定期清掃の回数を減らすことができました。

    ・デジタルトランスフォメーションを加速して顧客体験を向上
    LIXILは、革新的なデジタルツールを導入して既存ビジネスを変革し、顧客体験を向上させています。国内で導入した「LIXIL オンラインショールーム」、EMENA地域で展開しているデジタル・プラットフォーム「GROHE X」に続き、日本では動画配信サービス「LIXIL-X」を立ち上げました。「LIXIL-X」では、最新商品の説明ビデオや施工・メンテナンスをサポートする動画など、様々な動画コンテンツを提供しています。一方、アメリカでは、エンドユーザーの商品・アイデア探しと購買活動に役立つ画期的なデジタルツールをAmerican Standardを含むブランドのウェブサイトに導入しました。写真をクリックして購入できる「ショッパブル・ルック」、商品の3Dの画像や拡張現実(AR)表示に加え、エンドユーザーが理想のバスルームやキッチンをシュミレーションすることができる「ビジュアライザー」などがその例です。デジタルツールの活用とともに、サイトを訪れたエンドユーザーをLIXILのデザイン専門家がビデオ会議、チャット、電話、電子メールを通じてサポートすることで、顧客体験の向上を図っています。

    ・グローバルな衛生課題の解決
    LIXILは衛生課題を解決するソリューションの提供を通じて、2025年までに1億人の生活の質を向上させることを目指しています。この取り組みの一環として、LIXILと米国国際開発庁(USAID)は、世界の衛生環境の改善を目指す新たなパートナーシップ「Partnership for Better Living: Affordable, Accessible, Adaptable Sanitation Solutions」を発足しました。今後5年間を活動期間とする本パートナーシップは、低所得者層向けの衛生市場の確立を目的としたものです。LIXILはUSAIDによる1,000万ドル(約12億円)の助成金を通じて、SATOブランド製品のサプライチェーンを強化するとともに、手の届く価格帯で(Affordable)、地域によって異なるニーズに対応した(Adaptable)衛生ソリューションの提供拡大を図り、トイレや手洗いへのアクセス性(Accessibility)の向上に貢献します。また、このパートナーシップは、USAIDとLIXILが持つ独自の専門知識、リソース、影響力を活用し、低所得層の衛生環境を改善し、衛生市場を確立するという共同ミッションを推進するものであり、2026年までに最大11カ国で約200万人の衛生環境を改善することを目指します。

    ※適時開示資料はこちらから、新商品のリリース情報はこちらからご覧ください。

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