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    地場工務店の匠が手掛けた断熱リノベの実例集『断熱リノベの匠』を展開 第4弾は、築90年を超える古民家の意匠を復元し、快適な宿に再生した事例

    地場工務店の匠が手掛けた断熱リノベの実例集『断熱リノベの匠』を展開 第4弾は、築90年を超える古民家の意匠を復元し、快適な宿に再生した事例 サムネイル画像

    リノベーションで、大切な「宿場町」の地域文化を継承

    株式会社LIXIL(以下 LIXIL)は、地場工務店の匠が手掛けた断熱リノベの実例集『断熱リノベの匠』を展開しています。そしてこの度、第4弾としてSW(スーパーウォール)工法リフォーム加盟店の株式会社 みつぐはうす工房(福井県、代表取締役 貢 繁幸)が手掛けた、築90年を超える古民家をリノベーションし、快適な宿に再生した事例を公開したので、お知らせします。

    北国街道の宿場町、福井県今庄を拠点に、地元に根ざしたビルダーとして活動を続ける「みつぐはうす工房」。創業して17年、性能をデザインする住まいを追求し続けている匠(たくみ)が代表取締役 貢 繁幸 氏だ。
    貢氏は、新築住宅の受注が中心でありつつも地域における空き家の増加を実感し、古い住宅を住み継いでもらうためのリノベ提案を行うための取り組みを始めていた。そんな中、街道沿いに隣り合って建つ昭和初期の住宅で、維持管理が難しく空き家になっていた二軒を預かることになったことがきっかけとなり、古民家再生プロジェクトをスタートさせた。ちょうど「今庄宿」が令和三年に、文化庁による“重要伝統的建造物群保存地区”に選定され、その二軒も伝統的建造物に該当していたという経緯もあったが、何より自分が生まれ育った故郷の街並みや文化を残したいという想いと、街並みの保存に貢献できる建築のプロであるという使命感が突き動かしたのだという。


    20240214_Renovation_02株式会社 みつぐはうす工房
    代表取締役 貢 繁幸 氏
    「地産地消の家づくり」や「低燃費でゼロエネルギーを目指す家」をコンセプトに掲げ、環境負荷の少ない家づくりに取り組む、みつぐはうす工房。省エネルギー住宅のトップランナーを選定する表彰制度「ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エナジー」の優秀賞を7年連続で受賞。また、生活に寄り添いながら、家族のことを想 い、新しいエッセンスを創り出す、ロングライフデザインに出会える場「sou’s」を運営している。

     

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    20240214_Renovation_04北陸と京や江戸をつなぐ北国街道、越前屈指の宿場町として繁栄した「今庄宿」。幕末の記録では、旅籠屋55軒、茶屋15軒、酒屋15軒などがあったとされ、その面影が今も息づいている。





    今回のプロジェクトでは、二軒のうち一軒を宿として再生。もう一軒はカフェとして改修し、多くの⼈に利⽤してもらえるよう計画。築90年を超える建物のため、再生はたやすいことではなかったと想像できるが、宿泊施設として使用するには十分な快適性が必要となるため、古民家としての意匠の再生と断熱性の向上をいかに両立させるかが大変だったと振り返る。たとえば、すでにリフォームでサッシ戸に変わっていた玄関や窓については、建築当時の意匠・材質を調べてオリジナルで建具を製作し復元するが、断熱性が損なわれるため、意匠に配慮しながら高断熱の内窓や真空ガラスで補うといった具合いだ。

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    リノベ前の建物は土壁で無断熱の状態だったため、屋外に面する壁は高性能断熱パネルを使用して改修を行ったが、上の写真のような間仕切壁は昔ながらの土壁を残し、時が止まったかのような風情のある空間を再生し蘇らせている。






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    街道沿いに建つ、隣り合った二軒の民家(リノベ前)。                                       南越前町今庄宿 重要伝統的建造物群保存地区の
    正面右の建物を宿に、左の建物をカフェにリノベーション。                                 伝統的建造物に認定されている。

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              劣化していた柱は、大工が一週間かけて根継ぎ                                           改修工事の際に床の下から見つかった井戸は

              という伝統的な技で修復。                                                                      隠さず、当時の生活を偲ばせるシンボルに。

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    宿として再生した建物は、文化庁からの伝統的建造物群保存地区補助金を利用。建築当時の姿を復元するために新しく建具を製作する箇所も多くあり、町に図面を提出して承認を得ながら進めたそうだ。

    古民家のリノベーションで断熱性能を追求するのは簡単なことではないが、宿泊されるお客様の快適性を考え、「まるごと断熱リフォーム」が採用できないかとLIXILに相談。従来は土壁への対応は行っていないが、開発部署の協力で実験的な取り組みとして土壁の内側に断熱パネルを張る特別仕様にて断熱改修を行った。もちろん壁の断熱だけではなく、内窓樹脂サッシの採用や内側に障子戸を設け空気層をつくるなど、冬でも暖気を逃がさない様々な工夫を行っている。今回初めて古民家の断熱リノベに挑戦した貢氏は、地元を含め日本には土壁の家屋はまだ多く残るため、検証した結果を活かして「まるごと断熱リフォーム」の対応力の幅をひろげることができれば、古い空き家の再生に役立つのではないかと語る。地元の宿場の街並みを残そうとした想いが一歩となり、今後の空き家再生に繋がっていくことに期待したい。

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         築90年を超える日本家屋だが、リフォームを重ね、大切に住み継がれてきた。

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         土壁の内側から断熱リフォームパネルを張り込み、大幅な断熱性能の向上を追求。

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    昭和3年に建てられた民家は、北国街道に面しており、間口は大きくないものの奥には中庭や蔵もあり、今回の宿へのリノベでは、蔵はバスルームや洗面室として活用された。







    Reform Data
    延床面積:45.73坪/木造2階建/築年数:1928年竣工・築95年/エリア:福井県
    南条郡 断熱リフォームによる性能改善:省エネ区分 5地域
    改修前不明→改修後0.58W/(㎡・K)

    20240214_Renovation_17まるごと断熱リフォームは、今ある住まいを、一棟まるごと断熱改修することで高性能住宅化できる先進の工法。すぐれた性能の断熱材により、壁・天井・床をしっかり覆い、高断熱の窓や玄関ドアに交換。外気温の影響が少なく、快適・健康・省エネを実感できる暮らしを実現する。

     

     

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