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    【水の機能研究発表】LIXILが初解明※1、お茶やコーヒーの香りや味の決め手は水のアルカリ度

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    アルカリ度※2が高いことで、香り高いお茶やコーヒーに

    株式会社LIXIL(以下、LIXIL)は、水の価値を高めることが、生活のクオリティ向上にもつながると考え、浄水技術などを通じて水の可能性を追求しています。その一環として取り組んでいる研究の中で、水道水中のアルカリ度が緑茶、紅茶、ハーブティー、コーヒーの香りや味に及ぼす影響を調査したところ、アルカリ度が高いと香りが強くなることが確認されました。
    本研究の一部は、京都大学大学院 農学研究科 及川 彰 教授との共同研究で、第18回メタボロームシンポジウム(2024年10月23日〜25日・山形県・鶴岡)にて発表いたしました。

    ■研究背景
    水道水には、さまざまな成分が含まれており、お茶やコーヒーの風味(香りと味を合わせて感じる感覚)に影響を与えています。たとえば水の硬度については、「硬水」「軟水」という言葉などにより、ある程度一般的に認知されており、硬度により風味が異なることを知っている方も多いのではないでしょうか。一方、水道水に含まれる水のpH緩衝能(pHを一定に保とうとする力)の指標ともなるアルカリ度は、その地域の水源に応じて硬度と同じような差がありますが、アルカリ度が風味にどのような影響を与えるのかは解明されていませんでした。
    そのため、本研究では水のアルカリ度に着目し、お茶やコーヒーの風味成分に及ぼす影響を硬度、pH、残留塩素と共に確認しました。

    ■研究概要
    アルカリ度、硬度、pH、残留塩素を調整した水を用意し、それぞれの水(80℃)で緑茶を淹れ、香りに関わる香気成分と、味に関わる呈味成分を網羅的に分析しました。その結果、緑茶の香気成分に関してはアルカリ度の影響が最も大きく、アルカリ度が高くなるとモノテルペンや青葉アルコールが増加し、緑茶特有の香りが強くなる傾向が確認されました。


    味に関してもアルカリ度の影響が最も大きいことが確認され、アルカリ度が高くなると渋味成分が減少し、うま味成分が増加する傾向が見られました。アルカリ度以外の成分については、硬度が高くなると有機酸が減少することが確認されたほか、残留塩素に関しては、カテキン類の減少傾向が見られました。

    以上の結果から、アルカリ度、硬度、残留塩素、pHの各水質は、緑茶の香りや味の成分にそれぞれ異なる影響を与え、その影響度合いにも差があることがわかりました。特にアルカリ度は緑茶の風味に強い影響を及ぼす重要な因子であることが示唆されました。

    先述の結果にて、アルカリ度が緑茶の風味に影響を及ぼすことが明らかになったことを踏まえ、アルカリ度が紅茶、ハーブティー、コーヒーの香気成分に与える影響も調査しました。アルカリ度を調整した水(98℃)を用意し、それぞれの水で各試料を淹れ、香気成分を網羅的に分析したところ、アルカリ度が高くなると、紅茶、ハーブティー、コーヒーすべてにおいて香りが強くなることが確認されました。


    ■研究まとめ

    今回の研究により、お茶やコーヒーの風味には、アルカリ度が大きな影響を与えることが初めて解明されました。アルカリ度は緑茶の渋味、うま味、香りに影響しており、使用する水のアルカリ度によって、緑茶の風味が大きく変わることが示唆されました。さらに、アルカリ度が高くなると紅茶、ハーブティー、コーヒーの3種類とも香りが強くなるということも明らかとなりました。今後、アルカリ度と他の水質因子の相互関係が香りや味に及ぼす影響を明らかにしていくことで、将来的にアルカリ度の調整によるさまざまな飲料の風味制御が期待できます。

    LIXILは、今回得た知見を、水の価値をさらに高める技術の開発に活かし、誰もが願う豊かで快適な住まいの実現に向けて貢献していきます。

    ※1 2024年11月時点、LIXIL調べ
    ※2 水中の炭酸塩又は炭酸水素塩等のアルカリ分を炭酸カルシウム濃度に換算して、水が酸を中和する能力を
           表した水質指標 

     

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