株式会社LIXIL(以下LIXIL)が運営する、土とやきものの魅力を伝える文化施設「INAXライブミュージアム」(所在地:愛知県常滑市)は、日本のトイレ文化を発信する展示館「トイレの文化館」を2025年4月17日(木)から一般公開します。
「トイレの文化館」は、LIXILの水まわり・タイル100周年を記念し、INAXライブミュージアムの7つ目の館として開設します。木製便器の時代から、華やかに装飾された陶磁器製便器、水洗化を経て和魂洋才の技術的な発展を遂げ、空間としても充実した現代のトイレに至る日本のトイレの歩みを、約50点の実物と豊富な資料でたどります。
展示室には、江戸時代の絵図面をもとに復元した木製の樋箱(ひばこ)、白地に青で美しい絵付けを施した染付古便器、世界に先駆けて発明された19世紀イギリスの水洗トイレなどの貴重なコレクションに加え、国産初の温水洗浄機能付き便器(シャワートイレ)など、日本のトイレ史を飾るエポックメーキングなトイレの数々が並びます。さらに、1階コンクリート造・2階木造の建物には、廃材をマテリアルリサイクルして製作したモザイクタイルや階段吹き抜けの塗り壁など、建築の見どころも満載です。
清潔さにおいても、技術においても、世界から注目を集めている日本のトイレ。
その進化をご覧いただくとともに、背景にある、清浄性や清らかさをトイレに求めた日本の心と技を世界に向けて発信します。
<参考資料>
■「トイレの文化館」 施設概要
施設地:愛知県常滑市奥栄町1-130 (INAXライブミュージアム内)
敷地面積:約732㎡、建築面積:約260㎡、1階ピロティ約90㎡、2階展示室 約180 ㎡
設計:南の島工房一級建築士事務所(共同 森川設計) 施工:小原建設株式会社
内装・展示:株式会社丹青社
建築物:鉄筋コンクリート造/木造 2階建屋内展示館
■開設の背景
LIXILの日本国内の水まわり・タイル事業は、日本六古窯の街として知られる愛知・常滑に伊奈製陶株式会社(後のINAX、現LIXIL)が1924年に設立されてから100周年を迎えました。トイレなどの衛生陶器は、太平洋戦争終結直後の1945年から製造を始め、2025年に80周年を迎えます。80年の歴史のなかで、温水洗浄機能付き便器を初めて国産化し発売するなど、数々のイノベーションを創出してきました。トイレの進化をリードしてきたLIXILの水まわり事業の節目となる年に、日本のトイレ文化を世界に向けて発信する展示館を開設しました。
■ 「トイレの文化館」見どころ
【展示】(2階常設展示室)
清浄性をトイレに求めた日本の精神を背景に、「トイレ」の原点から、西洋の進んだ技術を取り入れて独自に発展し現代に至る日本のトイレの変遷を、時代に沿って一望できる展示空間。
―インスタレーション― 清浄性、清らかさをトイレに求めた精神と、もてなし
展示品:染付古便器
1.日本の「トイレ文化」の源流 排泄物を活用する循環システム
主な展示品:木製の樋箱(ひばこ)、おまる、厠模型、家外小便所、陶磁器製古便器、厠下駄
2.水洗トイレの始まり 近代的なトイレはイギリスから
主な展示品:イギリス製水洗便器 、白色タイル、白色便器
3.新たなトイレ文化の創出 西洋の技術を取り入れた”和魂洋才”
主な展示品:和風両用タイプのトイレ(通称 「汽車便」)、隅付タンク、国産初の温水洗浄機
能付き便器「サニタリイナ61」(1967年発売)
4.安らぎのトイレ空間 機能から、快適な安らぎの空間へ
主な展示品:住宅用システムトイレ「レスタシオ」、”世界最小満足最大”ータンクレストイレ「satis」(2001年発売)
ー世界に広がる日本のトイレ文化ー 独自に発展した文化、技術が新しいスタンダードへ
主な展示品:「AT200LS」 American Standard(アメリカ)、「SENSIA ARENA」GROHE(ドイツ)


展示室 |
(左) 染付花図(牡丹) 朝顔形小便器 個人蔵 (右) 染付花と蝶図(牡丹と芭蕉) 向高形小便器 千羽コレクション いずれも『還情園池紋製』銘 、六代加藤紋右衛門 、明治時代後期
|


絵図面から復元した江戸城本丸の樋箱(ひばこ) |
イギリスで発明された水洗便器 (中央) バルブ式便器(トラップ別型) メーカー不詳 イギリス 1860年ごろ (右) ハイタンク式便器「Simplicitas」(陶器製トラップ一体型) 便器:DOULTON & Co. イギリス 1887年ごろ ハイタンク:Royal Doulton & Co. イギリス 1900~1910年ごろ
|

