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    ”清浄性”と”清らかさ”は日本独自の精神性 日本の心と技を世界へ発信する「トイレの文化館」

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    (写真左から)INAXライブミュージアム館長 尾之内 明美、常務役員 LIXIL Water Technology Japan トイレ・タイル事業部 事業部長 水谷 優孝

    株式会社LIXIL(以下LIXIL)は、トイレの文化館に関するストーリーを公開します。
    清潔さや快適さにおいて、日本のトイレは世界の最先端を走り、さらに、本来の機能に加え、癒しの空間としても進化を続けています。2025年4月、LIXILが運営する愛知県常滑市のINAXライブミュージアム内に、新たにオープンした「トイレの文化館」は、独自の進化を続けてきた日本のトイレ文化を世界に発信するために誕生しました。今回は、内覧会とオープニング記念式典の様子についてレポートし、トイレの文化館の魅力についてご紹介します。

    「INAXライブミュージアム」の7つ目の館としてオープンした「トイレの文化館」

    愛知県常滑市は、千年の歴史を持つ六古窯の街の1つであり、LIXIL(前身はINAX)創業の地でもあります。LIXILがこの地で運営する文化施設「INAXライブミュージアム」は、土とやきもの、ものづくりの心を伝える体験・体感型ミュージアムです。異なるコンセプトの館が建てられており、来館者はさまざまな体験をしながらやきものについて楽しく学ぶことができます。今回、既存の6つの館、「窯のある広場・資料館」「世界のタイル博物館」「建築陶器のはじまり館」「土・どろんこ館」「陶楽工房」「やきもの工房」に加え、新たに7つ目の館として「トイレの文化館」がオープンしました。


    (写真)「トイレの文化館」 外観と内観

    水谷:LIXILは、2024年に日本国内の水まわり・タイル事業が100周年を迎えました。また、2025年には、トイレ事業が、1945年から始まった衛生陶器製造から数えて、ちょうど80周年を迎えます。LIXILはこの節目の年に、「トイレの文化館」を開設しました。

    今回のオープンに際して、日本や世界の古今東西のトイレについて調査を進める中で、日本ではとりわけ衛生やおもてなしの精神が「トイレにおけるDNA」として脈々と受け継がれてきたことが改めて分かりました。

    戦後、私たちは「和魂洋才」の精神のもと、日本固有の価値観を大切にしながらも西洋の優れた技術を積極的に取り入れてきました。その結果、洋式便器の普及はもちろん、「シャワートイレ」という日本独自の文化を創出することができたと考えています。進化と技術革新を遂げた日本のトイレ文化が世界に誇れるものとなったことを、私たちは誇りに思っています。「トイレの文化館」では、日本のトイレ文化に寄与した多数の展示から、先人たちのものづくりにかける思いと、衛生に対する高い意識と精神性から生まれた日本独自のトイレ文化を感じていただければと思います。

    (写真)シャワートイレという日本独自の文化の先駆けとなったサニタリーナ

    尾之内:「トイレの文化館」は、1986年に始まったINAXライブミュージアムの7つ目の施設として開館しました。トイレの文化館では、「日本のトイレ文化を世界へ発信する」を大きなテーマとして、日本独自の技術と海外の先進技術を融合させながら発展してきた日本のトイレ文化と、その背景にある「日本の心」を発信しています。

    日本のトイレが高い評価を受けている背景には、単なる機能性や衛生性だけでなく、「清浄」を重んじる独自の精神性と「おもてなし」の心があります。この館では、約180平米の木造展示空間に5つのテーマを設け、日本のトイレ文化を軸にしたトイレの発展と進化を紹介しています。

    展示は、日本のトイレ文化の根底にある清浄の精神ともてなしの心を感じていただくインスタレーションから始まります。トイレの源流から、江戸城で使用された樋箱の復元展示や排泄物を溜めて肥料として活用した糞尿と食糧の循環システム、そして水洗化を経て現代の豊かなトイレへとつながる変遷をたどります。世界に先駆けて開発を進めたイギリスの水洗トイレや、国産初の温水洗浄機能付き便器(シャワートイレ)など貴重な実機を展示し、日本のトイレがどのように発展、進化をしてきたのかをわかりやすく説明しています。


    (写真)【左上】白地に青で美しい絵付けを施した染付便器、【右上】江戸時代の絵図面をもとに復元した木製の樋箱、【左下】19世紀イギリスの水洗トイレなどの貴重なコレクション、【右下】国産初の温水洗浄機能付き便器など、日本のトイレ史を飾るエポックメーキングなトイレの数々が並びます。

    建築自体にも見どころがあふれています。2階の木造部分は、黒い壁板を鎧のように重ねる常滑の伝統的な鎧壁(よろいかべ)を外壁の意匠に取り入れています。鎧壁とは、やきものの窯場から火事が多発したことから、延焼を防ぐための知恵であり、やきものの街、常滑らしさを取り入れています。また、階段吹き抜けの内壁材には再資源化が困難だったFRPを当社が開発した新技術でリサイクルし、CO2排出の削減に貢献する原料を使用しています。さらに、エレベーター棟と周辺の壁には、タイルの廃棄原料をリサイクルした無釉モザイクタイルを使用するなど環境に配慮した素材で施工しています。

    「トイレの文化館」を通して、LIXILが目指すもの

    大西:LIXILは水まわり事業100周年、衛生陶器事業80周年という大きな節目を迎えました。この記念すべき年に「トイレの文化館」がオープンしたことは、大きな意義があります。当社のイノベーションの原点は「セラミック・やきもの技術」にあります。タイルとトイレは同じやきもの技術から生まれ、長年にわたり進化を続けてきました。このたびオープンした「トイレの文化館」では、日本古来の清潔さを重んじてきた精神とおもてなしの心が、いかにトイレにも息づいているかを紹介しています。

                                                                                       

     

     



    写真)LIXIL執行役専務 LIXIL Water Technology Japan
    担当 大西 博之

    かつて当社はトイレ空間を「第3空間」として、単に用を足すだけでなく、気分を高揚させる場所として位置づけました。以来、トイレは機能面だけでなくデザイン面でも大きく進化してきました。「トイレの文化館」では、日本のトイレの歴史や、トイレ文化の発展をリードしてきた当社の技術開発の変遷を展示しています。当社の技術者やプロユーザーさまにとっては、メーカーの原点に立ち返る場としての役割も担っています。今後も、「世界のタイル博物館」なども含め、INAXライブミュージアムをさらに発展させていく予定です。

    【LIXILのイノベーション】
    LIXILでは、「世界中の誰もが願う、豊かで快適な住まいの実現」というパーパス(存在意義)の実現に向け、常に新しいことにチャレンジしています。これまでの枠にとらわれない斬新な発想、そしてさまざまなバックグラウンドを持つ従業員の多様な視点や協業者とのコラボレーションから生まれる新たな価値-このようなことを大切にし、イノベーションを創発していくことで暮らしの未来を創造していきます。
    LIXILは今後も、私たちの行動指針LIXIL Behaviorsの一つにある「実験し、学ぶ」企業文化を醸成し、“やってみよう”と仲間が背中を押してくれる環境を整えてまいります。
    https://www.lixil.co.jp/corporate/innovation/

     

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