チャプター3:
建築家・デザイナーとの共創
LIXILの水まわり・タイル国内事業(以下、LWTJ = LIXIL Water Technologhy Japan)は、2024年で100周年を迎えました。1924年にINAXの前身となる伊奈製陶を設立以来、新たな暮らしの価値を追求し続け、数々のイノベーションを創出してきました。
前回は、【イノベーションを支えてきたコア技術】について紹介し、私たちのコア技術が将来どのように進化していくのかということを解説しました。今回は、これらのイノベーションが誕生した背景にある、建築家・デザイナーとの共創についていくつか事例を踏まえて紹介します。
伊奈製陶は、創業期から現在に至るまで、建築家やデザイナーとともに、都市や街並み、空間に彩りを与える革新的なものづくりに挑戦してきました。
イノベーションを支えてきた建築家的思考
日本の近代化の過渡期において、六古窯の街として知られる愛知県常滑で、創業家の伊奈初之烝・長太郎親子は土・水・火と向き合い、日本のやきもの産業発展の立役者として重要な役割を果たしました。伊奈親子は、帝国ホテル直営工場「帝国ホテル煉瓦製作所」の技術顧問として迎え入れられ、アメリカの建築家フランク・ロイド・ライトの代表作の一つとして知られる帝国ホテル 二代目本館 通称「ライト館」の装飾に富んだ煉瓦やテラコッタを製作。帝国ホテル「ライト館」は、近代日本を象徴する建築物となりました。
関東大震災にも耐えたといわれる帝国ホテル「ライト館」の新しい築構造は、震災の災禍からの力強い復興の象徴となりました。震災後、日本における鉄筋コンクリート造建築と、タイルやテラコッタなどの建築陶器による装飾は時代のさきがけとなり、百貨店、銀行、官庁などに使われ、多くの近代建築が築かれました。
(写真)復元した「光の籠柱」(2007年 INAXライブミュージアム企画展「水と風と光のタイル ―F.L.ライトがつくった土のデザイン」展示)
戦後、高度経済成長期の真っただ中には、衛生陶器・浴室・洗面化粧台・キッチンなどの生産を始め、建築家との共創を通じて、新たな時代へのイノベーションを起こしてきました
日本住宅公団や女性建築家第1号である浜口ミホ氏とともに、日本の新たな時代に合うダイニングキッチンの実現に向けた取り組みに参画しました。浜口ミホ氏が提案したセンター流しのレイアウトであるポイントシステムは、主婦の調理作業における歩数を劇的に減らし、新たな時代に相応しいキッチンの提案でした。 |
(写真)プレス加工での深絞りによる ステンレスシンク 公団型流し台に採用 |
こうした思想は今も受け継がれ、今日もさまざまな建築家・デザイナーとコラボレーションしています。世の中の環境が大きく変化し、新たな需要が生まれてくるなかで、私たちの持つ技術、製品そしてデザイン力を活かすことが新たな価値の創造につながると考えています。このプロジェクトで得た学びを活かし、使う人が求める、最高のものをつくり続けることに、時代が変わっても色褪せないモノづくりの精神があると考えています。

LIXILの水まわり・タイル事業は、これまで培ってきた技術や知見、そしてスピリッツを継承し、ステークホルダーの皆さまと一緒に、次の100年のイノベーションに挑戦し続けます。
【LIXILのイノベーション】
LIXILでは、「世界中の誰もが願う、豊かで快適な住まいの実現」というパーパス(存在意義)の実現に向け、常に新しいことにチャレンジしています。これまでの枠にとらわれない斬新な発想、そしてさまざまなバックグラウンドを持つ従業員の多様な視点や協業者とのコラボレーションから生まれる新たな価値-このようなことを大切にし、イノベーションを創発していくことで暮らしの未来を創造していきます。
LIXILは今後も、私たちの行動指針LIXIL Behaviorsの一つにある「実験し、学ぶ」企業文化を醸成し、“やってみよう”と仲間が背中を押してくれる環境を整えてまいります。
https://www.lixil.co.jp/corporate/innovation/