「感情で窓を選ぶ」新時代へ。LIXILとジオクリエイツ、断熱窓改修の“見えない快適価値”を可視化する新サービスのプロジェクトを始動
既存の部屋の写真から窓改修後のリラックス度や集中度をAI予測
特許出願済みの技術を活用し、納得感のある窓選びをサポート
株式会社LIXIL(以下LIXIL)は、東京都環境局が主催する令和7年度「断熱改修の新サービス創出に向けたアクセラレータープログラム」において、株式会社ジオクリエイツ(以下、ジオクリエイツ)と協働で、断熱窓改修による心理的効果を可視化する新サービスのプロジェクトを始動しました。本サービスは、窓改修前の部屋をスマートフォンで撮影すると、改修後のリラックス度や集中度などの感情変化をAIが予測し、数値では伝わりにくい断熱窓改修の見えない快適価値を可視化するものです。これにより、理想の過ごし方に合わせて「感情で窓を選ぶ」という新しい体験を提案します。脳波・視線データに基づく、感情推定技術(特許出願済み)を活用し、一年以内のサービス展開に向けて開発を加速させてまいります。
アクセラレータープログラムの背景
アクセラレータープログラムは、東京都環境局が推進する「ゼロエミッション東京」の実現に向けた、断熱改修の新サービス創出を支援するものです(WEB)。LIXILは本プログラムの採択企業として、自社が持つ断熱改修の知見と、ジオクリエイツが持つスタートアップの先端技術を掛け合わせ、既存の枠組みを超えた革新的なサービスの創出に向けて協働してまいりました。
LIXILが本サービスを展開する目的
LIXILは、国内の既存住宅のうち、約8割が現行の省エネ基準に満たない断熱性能である※1現状を社会課題として捉え、断熱改修の普及を推進しています。一方で、LIXILでは断熱改修の普及を阻む要因として、快適性などの効果は目に見えにくく、生活者が改修の必要性を理解しづらいことにあると捉えています。本サービスを通じ、リラックスや集中といった感情を窓選びの新たな指標として可視化し提示することで、生活者が「この部屋でどう過ごしたいか」を起点に、自発的に改修を検討できる環境を整えます。
サービス概要:科学的根拠に基づく「感情の可視化」
ユーザーがスマートフォンで既存の部屋を撮影するだけで、AIが改修後の部屋の画像を生成することに加え、AI解析モデルが断熱窓改修後のリラックス度や集中度などを予想し、レーダーチャートで変化を可視化します。改修前後の感情変化をシミュレーション比較し、「この窓に変えると、毎日がこれだけ心地よくなる」という、一人ひとりの感性に寄り添った納得感のある提案手法を確立します 。この解析は、サービス利用者の脳波を計測するのではなく、LIXILの体験型施設「住まいStudio(スタジオ)」にて、実際の断熱性能の変化に伴う反応を脳波計測した実験データを活用しています。
今後の展望
アクセラレータープログラムの成果を基に、システム開発と実証を継続し、一年以内のサービスローンチを目指します。お客さまが窓改修後の心地よさを直感的にイメージできる提案ツールとして、窓改修における営業現場での活用を計画しています。「感情で窓を選ぶ」という新しい文化を醸成し、断熱窓改修が日本の住まいのスタンダードとなる社会を牽引してまいります。
※1出典:国土交通省調査によるストックの性能別分布を基に、住宅土地統計調査による改修件数及び
事業者アンケート等による新築住宅の省エネ基準適合率を反映して推計。
〈参考資料〉
■新サービスの詳細について
スマートフォンで既存の部屋を撮影するだけで、最新の窓へ改修した後のイメージ画像をAIが即座に生成。単に見た目を変えるだけでなく、脳波計測データに基づいたAI解析により、改修後の心理的な変化(リラックス度や集中度など)を予測します。断熱性能の向上とともに、「この窓に変えると毎日がどれだけ心地よくなるか」をレーダーチャートで分かりやすく比較。数値やスペックだけでは伝えきれない窓の魅力を、一人ひとりの感性に寄り添った新しい提案手法で可視化します※。
※サービス利用者の脳波を計測するものではありません。
■新サービス開発に向けた脳波計測実験について
今回のサービス開発に向け、LIXILの住まいStudioにて昭和55年基準の「昔の家(断熱等級2)」と、HEAT20 G2レベルの「これからの家(断熱等級6)」の2つの空間において、被験者(30代〜50代のLIXIL社員4名)が一定時間滞在した際の脳波および心拍を計測しました。高精度脳波計を用い、窓からの距離による空間認知の変化や、時間経過に伴う感情の推移を詳細に分析しました 。計測の結果、暖かい「これからの家」では、寒い部屋と比較してリラックスを示す「α(アルファ)波」および集中を示す「β(ベータ)波」が上昇することが確認されました。特に、滞在時間が長くなるほどリラックス度が高まる傾向が見られ、リビングや寝室など長時間滞在する部屋における断熱改修が、精神的充足度の向上に大きく寄与することが確認されました 。この実験で得られた「室温変化と心理反応の相関データ」を教師データとしてAIに学習させることで、画像解析のみで改修後の感情変化を予測する独自のアルゴリズム(特許出願済み)を確立しました 。今後更に被験者実験を追加し、空間データベースの拡充を進めます。
![]() 高精度脳波計で右脳左脳を分けた 断熱性能に基づく空間認知を解明 |
「昔の家(断熱等級2)」と「これからの家(断熱等級6)」 |
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「昔の家(断熱等級2)」と「これからの家(断熱等級6)」で、窓と被験者の距離を変え、それぞれの場所で脳波を計測 |
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高精度脳波計の結果(部屋種別と部屋経過時間の交互作用) |
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■株式会社ジオクリエイツについて
「すべての人に最高の空間体験を!」をビジョンに掲げ、空間アナリティクスツール「ToPolog(トポログ)」等を展開しています。国内外の様々なインテリアや建築や都市のプログラムでの関与実績から、設計者・事業主・エンドユーザー間の課題を捉え、設計段階や設計前後の現地のVRでの視線や脳波を測定・推定でデータベース化・AI化して、不動産・防災・小売などの市場を横断して、空間デザインの民主化を実現します。
株式会社ジオクリエイツHP:https://geocreates.net/
■株式会社ジオクリエイツ 代表取締役 本田司氏 コメント
弊社は建築VRのスタートアップです。今回、LIXIL様とは、弊社が掲げる「空間デザインの民主化」に関連する住空間のエンドユーザーの皆様のデータを人間中心設計として扱え、断熱窓改修などの新機軸のソリューションをご一緒に展開できると考え取り組みました。
弊社の技術は、代表の私が、VRと視線分析の建築学会賞受賞研究を担当したものを、脳波分析も含め体系化し、空間や感情についての計測方法や指標やAI化等を多数の特許による技術化も経て進めているものです。そこに今回の「共創」の位置づけでなければ得られないデータや知見をご一緒に検討しつつ進めることで、イノベーションになると考えています。
今後、サービスローンチに向けて、空間や被験者の属性を変えて実験データを拡充し、快適な生活、伴うビジネスが加速する空間体験価値をお示ししていけるよう進めて参ります。
詳細は以下の記事からもご覧頂けます。https://tomoruba.eiicon.net/articles/5595
■アクセラレータープログラムについて
東京都環境局が主催する令和7年度「断熱改修の新サービス創出に向けたアクセラレータープログラム」は、事業のアクセラレーター(断熱改修アクセラレーター:株式会社eiicon)が、
断熱窓の改修を進める上で課題をもつ企業とそれら課題を解決できる技術を持つスタートアップの協働による、断熱窓の改修を進めるための新しいサービスの検討・提案・試行のための伴走支援をするプログラムです。
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「昔の家(断熱等級2)」と「これからの家(断熱等級6)」
「昔の家(断熱等級2)」と「これからの家(断熱等級6)」で、窓と被験者の距離を変え、それぞれの場所で脳波を計測
高精度脳波計の結果