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    10月1日「身体障害者補助犬法施行記念日」に考える、 知られざる補助犬のトイレ環境

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                        ーまずは補助犬の理解と、「当たり前に受け入れる姿勢」の具現化が必要ー


    株式会社LIXIL(以下LIXIL)は、誰もが安心して快適に利用できるインクルーシブなパブリックトイレ空間をめざしています。
    10月1日は、補助犬(盲導犬・介助犬・聴導犬の総称)ユーザーの社会参加と受け入れを義務付けた「身体障害者補助犬法(以下、補助犬法)」の施行記念日です。2002年の同法施行後、今年で24年目を迎えた現在、日本国内では約850頭の補助犬が活躍しています。
    その一方で、補助犬ユーザーの外出時における大きな障壁のひとつが「補助犬の排泄(トイレ)」です。トイレ利用は基本的人権のひとつであり、補助犬ユーザーのトイレ利用も例外ではありません。
    そこでLIXILでは、公益財団法人 交通エコロジー・モビリティ財団の2025年度バリアフリー推進事業「身体障害者補助犬のトイレに関する基礎調査」に参画しました。本事業では、特定非営利活動法人 日本補助犬情報センターが事務局を務め、LIXILのほか動物行動学やユニバーサルデザインの専門家らが委員として参画し、それぞれの知見を活かしたさまざまな角度による調査を実施しました。2026年3月には、それらの調査結果をとりまとめた「身体障害者補助犬のトイレに関する基礎調査 報告書」を公開し、「補助犬トイレ整備方針案」を提案しています。
    補助犬ユーザーと補助犬が安心して利用できるトイレ環境の実現には、社会の理解も必要不可欠です。補助犬法施行記念日である10月1日に、本報告書から見えてきた補助犬のトイレに関する実態と課題を改めて考えると共に、インクルーシブな共生社会の実現に向けて、皆さまのご理解と補助犬のトイレ環境整備の促進を呼びかけます。


    調査結果の考察(概要)
    ・補助犬の社会的認知と周知活動により、「補助犬の排泄」への誤解を解く必要がある。
    ・補助犬ユーザーの多くがバリアフリートイレ(多機能・多目的トイレ)を利用しており、利用への周知と理解が求められる。
    ・「補助犬専用トイレ」は選択肢のひとつとして有効であるが、既設のトイレには運用や設備の課題により利用できないものも存在する。設置の際には、犬の行動特性を考慮し、補助犬ユーザーが利用しやすいトイレ計画が重要である。
    ・すぐできることとして、既存のバリアフリートイレへの「ほじょ犬マーク※」の貼付、屋外の 植込みや駐車場等の片隅に看板を立て、「補助犬排泄可能エリア」として提供する等がある。 これらは、補助犬ユーザーを「歓迎している」という施設側の意思表示になると同時に、周囲への理解啓発にもつながる。こうした「当たり前の受け入れ」の地道な積み重ねが、真のインクルーシブな施設運営実現の原動力となる。


    ※ほじょ犬マーク
    身体障害者補助犬法の理解促進を目的とし、厚生労働省が作成しました。同法の趣旨に基づいた普及啓発を行う場合に自由に使用できます。
    詳細は、厚生労働省のWEBサイト「ほじょ犬マーク」とはをご覧ください。


    ■調査結果の抜粋
    1. 補助犬の排泄について、知られていない現状が明らかに。先ずは知ってもらうことが重要。 
    ・一般市民20代〜60代の男女計1,111人への意識調査では、「補助犬の排泄問題があることに驚いた」、「補助犬の排泄について考えたこともなかった」という感想が多数寄せられ、課題自体が認識されていないことが明らかとなった。その他、「考えるきっかけになった」、「新たな気付きが得られた」という声もあり、積極的な情報発信や啓発の有効性が示唆された。
    ・具体的な調査結果では、補助犬が排泄する場所について「わからない」と回答した人が42.8%と最多であった(図1)。また、「補助犬は排泄を我慢させられていると思うか」について「そう思う/どちらかといえばそう思う」が計36.3%、26.2%が「わからない」と回答し、 誤った認識の人とわからない人で62.5%を占めた(図2)。
    ・一方、補助犬ユーザーへのインタビュー調査では、「排泄を我慢させていないことを理解してほしい」との声が多くあがった。
    ・実際、補助犬ユーザーは補助犬の健康状態等も考慮しながら適切な排泄タイミングを管理しており、我慢させることはない。正しい情報を広く周知させることが重要である。


    2. 屋内では、補助犬ユーザーの多くが「バリアフリートイレ」を利用。
         一般市民への意識調査では約75%が利用を許容する一方で、利用時に咎められるケースも。
    ・盲導犬ユーザー7名、介助犬ユーザー12名、聴導犬ユーザー4名へのインタビュー調査では、16名が屋内では「バリアフリートイレ(多機能・多目的トイレ)」を利用していた。
    ・利用するメリットとして、「補助犬と一緒に入れるスペースがある」、「補助犬ユーザー本人が用を足せる」、「個室のため、雨風や人の目を避けられる」等があげられた。人目を避けられることで、ユーザーも犬も落ち着くことができる。
    ・しかし、ハード・ソフト両面における利用時の困りごとがみられた(表1)。


    ・一般市民向け意識調査では、補助犬がバリアフリートイレを利用することについて「よいと思う/どちらかといえばよいと思う」の合計は74.9%であり、許容度は高い。
    ・一方、補助犬ユーザーへのインタビュー調査では、犬と一緒にトイレから出た際、外にいる人に指摘を受けたり驚かれたりした経験のある人が多く、補助犬がバリアフリートイレを利用することについてSNSで批判されたという声もあった。


    ・「否認派」の理由(表2)では「特に理由はない」が31.5%で最も多く、補助犬を知らないことから「よくない」と思ってしまう可能性がある。「他の利用者とのトラブル」についても、「補助犬もトイレを使う」というあたりまえの事実の周知が必要と考えられる。
    ・「犬アレルギーが心配」については、周知だけでは解決できない課題である。ただし、犬(動物)アレルギーが「ある」と回答した人(5.5%)のうち、80.3%が「許容派」であり、回答者自身ではなく家族や他人のことを心配している可能性もある。(アレルギーなし層の「許容派」は74.6%)
    ・盲導犬の排泄方法として「ワンツーベルト※1」の使用が普及しており、基本的に排泄物で周囲を汚すということはない。また、ワンツーベルトを装着させることに対し「可哀想」という誤解があるが、子犬のときから楽しく適切にトレーニングを受けており問題ない。
    ・介助犬の場合は、ユーザーの個々の障がいに合わせて、バリアフリートイレの中でもペットシーツや排泄物キャッチャー等を使用する。
    ・ただし、補助犬も生き物であり、時には失敗することもある。その際もユーザーが責任を持って片づけるが、「失敗」に寛容な社会であることが誰もが暮らしやすい街につながる。

    ※1. ワンツーベルト:補助犬のうち、主に盲導犬が排泄する際、周囲を汚さないよう排泄物をキャッチするために犬の腰(おなか周り)に巻き付ける専用のベルト。排泄を促す掛け声である「ワンツー、ワンツー」にちなんで名付けられている(報告書p.78参照)。




    3.「補助犬専用トイレ」は必要?!選択肢のひとつとしては有効だが、設備や運用には課題も。
        「バリアフリートイレ」に「ほじょ犬マーク」を貼るだけで使いやすく、啓発にも繋がる。
    ・国内外の空港における補助犬トイレ(海外では犬用トイレ兼用も含む)の事例調査では、国内外問わずトイレ内のスペースや設備は多様であり、理想的な犬用トイレは未だ確立されていないことが示唆された。
    ・施設の公式WEBサイトで得られる情報は限定的であり、補助犬ユーザーが利用しやすいトイレという点では、情報提供、設備(使い勝手)の両面から改善の余地がある。実際、「設置されているのに使えない」事例が散見された。
    ・日本独特の事例として、「補助犬トイレ」が施錠されており、利用時にインターフォン等で管理者へ連絡が必要なケースがみられた。これは障がいのある人が利用しづらいシステム※2であり、専用トイレがあっても有効活用されず、改善が求められる。
    ・また、犬の行動特性を考慮していない床の材質(滑りやすい等)や音響等、不適切な仕様の専用トイレでは、補助犬が使いたがらない※3。
    ・日本の場合は、ペットシーツやワンツーベルトを使用した排泄訓練を行っている訓練事業者が多く、バリアフリートイレ(多機能・多目的トイレ)を利用すると回答した訓練事業者も多かった。そのため、補助犬専用トイレの設置は必ずしも必要ではなく、バリアフリートイレを補助犬ユーザーが利用することの周知、利用しやすい環境整備を求める意見が多くあがった。
    ・「補助犬トイレ」は選択肢のひとつとして有効ではあるが、すぐできる対応として、実際に多く利用されているバリアフリートイレに「ほじょ犬マーク」を貼付するほか、施設内の屋外の植込みや駐車場等の排水溝近くのアスファルトといった、清掃が容易で人目が気になりにくい場所を「補助犬排泄可能エリア」として提供する等が考えられる。これらは施設側の補助犬ユーザーを歓迎する意思表示になると共に、補助犬ユーザーが利用してもよいという安心感と周囲への理解啓発につながるのではないか。
                                                                       バリアフリートイレへの「ほじょ犬マーク」貼付イメージ▶

    ※2. 視覚障がいのある盲導犬ユーザーはインターフォンがあることがわからない、タッチパネル操作ができない、車椅子使用の介助犬ユーザーには、操作パネルの位置が高く届かない、聴覚障がいのある聴導犬ユーザーは管理者との発話によるコミュニケーションが取れない等。
    ※3. 好ましい例として、車椅子ユーザーが容易にアクセスでき、犬が排泄行動をする際に十分なスペースを設ける。床材は、人工芝や防汚コートを施したコンクリート、屋外用防滑・防水シートを使用する。ステンレスや大きな隙間のあるグレーチングは犬が怪我をしたり恐怖心を抱くため推奨しない。等があげられる。


    ■参考:国内外の補助犬用トイレの設置状況ーGoogleマイマップによる可視化の試み
    国内外の事例調査結果を踏まえ、判明した国内外の補助犬トイレ設置地点をGoogleマイマップ により集約しました。
    今まで把握しづらかった「補助犬専用トイレ」の存在が一目で確認可能となり、国内施設においては、場所の詳細や設備の内容も確認できるようになっています。
    ぜひご活用ください。



    ■有識者コメント
    吉田 文 教授/大阪保健医療大学作業療法学専攻・日本補助犬情報センター理事長  
    身体障害者補助犬法は、2002年に施行され2027年で25周年を迎える。しかし、今回の調査で社会的に認知されていないことが明らかになった。社会の多くの方が補助犬の排泄について知らないために起こる不寛容は、補助犬ユーザーの社会参加のしづらさにつながる。それは社会の中で生きる誰にとっても他人事ではない。今回の調査は補助犬の排泄を通して、多様な方々が社会にいること、それをお互いに知ろうとすること、その一歩を継続する重要性を示唆している。



    川内 美彦 元東洋大学教授/東洋大学 人間科学 総合研究所 客員研究員   
    これまで補助犬のトイレ利用についての調査はあまりなかった。補助犬の排泄は訓練され、管理されているが、社会の理解が追いついておらず、その結果としてユーザーが肩身の狭い思いを抱えながら遠慮しつつ排泄させているということが明らかとなった。補助犬はユーザーと一緒に社会の中で暮らしている。補助犬とそのユーザーをきちんと迎え入れることのできる社会のために、この基礎調査が行われた意義は大きい。




    ■実施事項(調査)・役割分担
    実施調査の役割分担、及び概要・詳細は、「身体障害者補助犬のトイレに関する基礎調査 報告書(2026年3月)」の下記( )内ページをご参照ください。なお、当報告書は(公財)交通エコロジー・モビリティ財団の公式WEBサイト内、「バリアフリー推進事業の報告書等リスト」に掲載されています。

    〇調査の役割分担(p.5)
    1.国内外主要空港の補助犬トイレの事例収集・実態調査:2025/10/9~12/22実施(p.7~)
    2.国内外における補助犬専用トイレのGoogleマイマップによる可視化の試み(p.18~)
    3.国内外の補助犬訓練施設事業者へのアンケート調査:2026/1/13 ~ 2/28実施(p.21~)
    4.補助犬ユーザーに対する補助犬の排泄方法に関するインタビュー調査:2026 /3/1~21実施  
          (p.26~)
    5.一般市民に対する補助犬の排泄に関する意識調査:2026/3/5実施(p.44~)
    6.課題整理と補助犬トイレ整備方針の検討(p.73~)


    特定非営利活動法人 日本補助犬情報センター(https://www.jsdrc.jp/)
    補助犬の社会における理解と普及を目指した活動とともに、障害者の社会参加・社会復帰を推進する事を目的に、第三者機関として中立の立場から相談・情報提供を行っている。


    ■LIXILパブリックトイレラボのご案内
    パブリックトイレの情報に特化したLIXIL公式WEBサイト「LIXILパブリックトイレラボ」では、「トイレへのアクセスは基本的人権のひとつです」をキーメッセージとしています。
    LIXILパブリックトイレラボ トップページ:https://www.lixil.co.jp/ud/publictoiletlab/



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