2025年「世界トイレの日」:LIXIL、衛生環境改善「1億人」の目標達成を目前に、 グローバルな衛生課題の解決に向けた取り組みの進捗を発表
11月19日の「世界トイレの日」を前に、世界では依然として34億人が安全に管理された衛生設備を利用できず、3億5,400万人が屋外排泄を行っています。劣悪な衛生環境が引き起こす危機は、コレラや下痢のような深刻な健康問題につながり、公衆衛生や日々の安心できる暮らしにも甚大な影響を与えています。このようなグローバルな衛生課題の解決には、セクターを超えた連携による確かな対応が求められています。
LIXILは、水まわり製品や建材製品を扱うグローバルリーダーとして、2025年末までに1億人の衛生環境を改善するという目標を掲げ、この危機の解決に取り組んでいます。この取り組みをけん引しているのはソーシャルビジネス「SATO」であり、遠隔地や低所得者層が住む地域に手頃な価格で革新的なトイレを提供しています。また、LIXILではSATO事業に加え、その専門性を活かし、先進国においても、水質汚染の防止と公衆衛生の改善のため、衛生インフラの改善に取り組んでいます。
ソーシャルビジネス「SATO」:誰もが手にできる価格で、製品提供をさらに拡大
下水インフラが整備されていない地域では、屋外排泄をなくし、安全に管理されたトイレや手洗い設備の利用を広げることが喫緊の課題です。SATOのシンプルな構造で耐久性の高いトイレや手洗い製品は、まさにこうした課題に対応するものであり。排泄物を使用者や環境から適切に隔離して汚染を防ぎ、人びとの健康を守るとともに、ユーザーのプライバシーが確保され、安心して利用できる環境も提供します。
LIXILが掲げる「2025年末までに1億人の衛生環境を改善する」という、大きな目標の節目が迫る中、SATO事業は主要なパートナーシップを通じてそのインパクトを拡大することに注力してきました。
グローバル・パートナーシップの拡大: LIXILとユニセフ(国際連合児童基金)は、グローバルパートナーシップ「MAKE A SPLASH!」を通じて、これまでに1,630万人の人々の衛生環境改善に貢献してきました。直近の1年間だけでも、パートナーシップの重点6カ国(ケニア、ナイジェリア、タンザニア、エチオピア、インド、インドネシア)において、72万7,000人に基本的な衛生設備への直接的なアクセスを、76万人に基本的な手洗い設備を提供しました。
現地供給網の強化: SATOは、遠隔地のコミュニティに製品を確実に届ける「ラストワンマイル」の課題を解決するため、ウガンダやギニア、ザンビア、ネパールやインドネシアなどの主要国で、現地での製造や輸入、流通を担う新たなローカルパートナーとの関係を積極的に構築しています。
アジアにおける学校の衛生環境改善: LIXILは、世界各地の学校や各種機関との連携を強化しており、その一環として、バングラデシュとインドネシアの10校で2,500人以上の子どもたちに安全なトイレを届けるプロジェクトを主導しています。この取り組みは、NGOであるワールド・ビジョン・ジャパンとのパートナーシップのもとで実施されており、例えば、男女別のトイレがないために女子生徒が学校を休まざるを得ないといったような、極めて重要なニーズに対応しています。本プロジェクトは、LIXILおよび日本の販売代理店パートナーからの1,910万円の寄付によって実現しました。
人道支援の拡大: SATOは、SATO SuperStructure、SATO Slab、SATO Pit Linerなど、製品ポートフォリオを拡充しており、危機的状況下で耐久性の高い衛生ソリューションを提供できるよう、人道支援分野の取り組みを拡大しています。ユニセフとのパートナーシップに加え、ケニアではピースウィンズ・ジャパンと連携し、カクマおよびカロベイエイ難民キャンプにて、耐久性の高いSATO製品を試験導入し、自立可能な衛生市場の構築を推進しています。
アラバマ州のiPIPモデル:先進国の衛生課題に対応するイノベーションを推進
LIXILは、開発途上地域でのソリューション拡大に留まらず、より広範な地域においても、イノベーションの推進とエコシステムの構築により深刻な衛生インフラの課題に取り組んでいます。米国アラバマ州の「ブラックベルト」と呼ばれる地域では、浄化槽の機能不全や「ストレートパイピング(未処理下水の直接放流)」により、未処理の汚水が敷地内や住居に直接流れ出し、深刻な環境汚染と健康被害を引き起こしています。
この課題に対応するため、LIXILは、排水管理の改善を目的とするBlackbelt Unincorporated Wastewater Program や関係機関とのパートナーシップを開始しました。この連携を通じて、LIXILは「室内配管改善プログラム(Indoor Plumbing Improvement Program:iPIP)」という、家庭内の水道設備をより節水型のものに改修するため、必要な作業や機器をすべてまとめて提供するプログラムを導入しました。
このプログラムを通じて水漏れの修繕や、LIXILのAmerican Standardブランドの節水器具を設置することで、各家庭からの排水量を削減し、排水処理の負荷を軽減しました。この水使用量の最適化は、新しい戸別衛生システム(Onsite Sanitation Systems)のリスクを軽減するために不可欠であり、結果として、より小型で低コストな設計の排水設備が規制当局に承認されるようになりました。
このイノベーションは、汚水の垂れ流しを防ぐだけでなく、特に粘土質の土壌が広がる同地域の環境負荷を直接的に低減します。さらに、排水処理部分(浸透ます)にかかる水の負担を軽くすることで、排水処理システム全体が長持ちするようになり、水資源の保全にもつながります。
結果として25~30%の設備コスト削減が実現し、連携するパートナーは、より多くの家庭にサービスを提供できるようになりました。この民間主導で実現した解決策は、今や他の地域への展開が可能な段階にあります。
衛生環境の整備は、健康や経済、環境に向けた「未来への投資」
開発途上国から先進国に至るまで、LIXILは多様なイノベーションとパートナーシップを通じて、衛生環境の改善が「コスト」ではなく、地域社会や政府にとって、大きな価値を生み出す投資の機会だということを示してきました。
衛生分野への投資は、医療費の削減、生活の質の向上、疾病から生じる生産性低下の軽減、そして特に女子生徒が学校を休まずに済むことによる教育の機会確保などの恩恵をもたらし、社会の変革につながります。
私たちは、手頃な価格のSATO製品から、安全で安価な戸別衛生システムの導入を可能にするiPIPモデルまで、パートナーと共に持続可能な衛生市場とサービスモデルを確立することを通じて、地域経済および社会へのインパクトを最大化することを目指しています。
LIXILのCEOである瀬戸欣哉は、次のように述べています。「世界の衛生危機への取り組みは、単なる衛生問題の解決にとどまりません。それは、人間の尊厳を解き放ち、経済的繁栄を促進し、環境の持続可能性を確保することです。LIXILの技術とビジネスモデルをこの重要な使命に活かせることを誇りに思います。1億人の生活にインパクトを与えるという目標達成が目前に迫る今、私たちのコミットメントはこれまで以上に強固なものになっています。私たちは常に『協働こそが、新たなインパクトを生み出す原動力』であると信じ、今後もグローバルな組織から地域のコミュニティに至るまでパートナーシップを深化させ、「1億人」という目標のさらに先を目指して、未来を築いていきます」
LIXILが掲げる、1億人の衛生環境を改善する目標についての詳細はこちら。